AIに聞くこれからの日本

どうするのよニッポン!

去る7月22日のNHKスペシャルAIに聞いてみた、どうするのよニッポンを大変興味深く拝見させて頂いた。話題のAIとはNHKが主体となって開発したもので、過去30年に遡って日本全国47都道府県の700万件5000種類のデータ更に、1万5000人の人生を10年以上に渡って追跡したデータを覚え込ませた人工知能の事である。このAIを使って二十年後の日本を予測させると、このまま進めば、少子高齢化は益進み労働環境は悪化しガン患者や自殺者は激増し餓死者が増え、医療財政は破綻すると云う恐るべき未来像を予測している。

ではどうすればよいのかとの質問に対してAIは以下の五つの提案を示した。

1、健康になりたければ病院を減らせ。

2、少子化を食い止めるには結婚よりも車を買え。

3、ラブホテルが多いと女性が活躍する。

4、男の人生の鍵は女子中学生のポッチャリ度。

5、四十代の一人暮らしは日本を滅ぼす。

この内1、については現実に北海道夕張市に実例があると云う事で納得出来るが後の項目に付いては禅問答のようで、開発者自身もよくは解らないようであったが、風が吹けば桶屋が儲かると云う様な比喩的な因果関係ではなく統計上導き出された結論で、これを見る人間がどう解釈すべきかを考える必要があるのであろう。

さて、この内3、のラブホテルが多いと女性が活躍するについて当日、解説者はオリンピックを控えて来日する外国人の宿泊施設として活用されると云いまた、ある評論家は貸間産業の発展に貢献し経済効果を発揮するからではないかとの見解をのべられていた。然し単なる宿泊施設ならば従来のホテルで良い訳で、ラブが付く所に別の意味があるとしか思えない。この放送に出席されたマツコデラックス氏はこれは多分セックスに関連した結論ではないだろうかと云われたが、正に私も同感である。

人間は動物であり子孫を残す為には生殖行為は欠かせないが、その行為を促すために性欲と云う本能が備わっている。多くの動物は自然環境の変化に応じて最も子孫を残しやすい時期を選んで発情し生殖活動を行うが、人間には季節の限定がない。

今の社会では収入が低ければ結婚も出来ず、性欲のはけ場が無い人間が痴漢、誘拐、強姦などの性犯罪に走り罰則をいくら強化しても犯罪は跡を絶たない。また衝動に駆られて結婚してみたものの出来た子供を養育できず殺してしまうと云う悲惨な事件が多発している。

此処で考えなければならないことは人類進化の過程で人間が漸く人間らしくなったのは今からほぼ5万年前と云われ、人間は未だ進化半ばの生物であり、完全に理性を以って自己を律することには不完全である。

然し社会秩序の維持のためには、性欲は結婚と云う枠で夫婦間の中に納めさせざるを得ないが、建前と本音は矛盾しており中枠の中には納まり切れない。

日本では戦前から各地に遊郭(ゆうかく)と云う公認の売春施設が認められ、性欲の捌け口の場として利用されていたが、戦争終結後の昭和21年1946年GHQの勧告により廃止の方向が決まり、その後昭和32年1957年の売春防止法により翌年昭和33年1958年から完全に廃止された。

そこで戦後現れたのはラブホテルであるが、では昔の遊郭(ゆうかく)と現在のラブホテルはどこがどう違うのかと言えば、遊郭は女性がお金と引き替えに男性の性欲を満たし職業的に売春を行う施設であり、一方的に男性のためのものであったが、ラブホテルでは女性は職業としてではなくあくまでも男女双方の自由意思と合意をたてまえとした性行為を行うための施設である事が大きな違いである。同じく性の充足には変わりないが前者が男性のみのためであるのに対して後者は男女双方と云うところに相違がある。

AIの云うラブホテルが多い所とはその施設を利用する男女が多いという事であり、その数だけ男性は鬱積した性のエネルギーを放散し女性は能動的になる社会と云う事である。性欲が中和された社会ならば性の暴発による犯罪も減るであろうし社会の秩序は保たれ易くなるであろう。また、能動的な女性に取って不安のない安定した社会ならば安心して進出し活動出来るに違いないと云う三段論法的な理論が当てはまるのであろうか。

アメリカは原則として公娼制度は認められていないが州によっては性に関して自由な都市があり、そこでは街全体がクリエイテブで活気に溢れていると、この放送で解説されていた。

余談ではあるが、チンパンジーと同類の猿の仲間のボノボは本来の子孫を残すという性行為以外に発情期以外でも雌は仲間同士のコミュニケーションを図るために交尾して融和を保ち、チンパンジーのように雌を廻る激しい争いは行わないとのことである。

AIはこの社会で人間の持つ裏の部分、つまり性との関連を無視しては答えが出せないよ、と主張しているのであろうか。AIの導き出した答えに、では具体的にどうすれば良いのかについてはこれからの若い人に課せられた大きな課題であろう。